作品とデザイン

作品とデザイン

文学・着物意匠・雑誌編集にわたる、宇野千代の創作の軌跡
「美しく生きること」を追求した生涯は、多彩な形で結晶化し、現代にも息づいています

文学作品

恋愛・人間の情念を繊細かつ格調高い筆致で描いた
宇野千代の代表的な文学作品

和室の書斎にて、着物姿に眼鏡をかけ、右手に鉛筆を持って原稿用紙に向かう宇野千代のモノクロ写真。手前の机の上には、お盆にきれいに並べられた大量の鉛筆や消しゴムが配置されている

岩波文庫『老女マノン・脂粉の顔 他四篇 宇野千代作 尾形明子編』の紹介画面。着物姿の若き日の宇野千代のモノクロ写真と、初期中短篇の解説文、『緑 222-2』の文庫番号が掲載された書籍情報

脂粉の顔

1921年 / 懸賞小説一等入選

宇野千代の作家デビュー作
時事新報の懸賞小説で一等に入選し、ここから文学の道が始まった

岩波文庫『色ざんげ 宇野千代作』の紹介画面。モダンな帽子をかぶった若い頃の宇野千代のモノクロ写真とともに、あらすじ文や『緑 222-1』の文庫番号が掲載された書籍情報

色ざんげ

1933〜1935年 / 中央公論連載

恋愛や裏切りなどをテーマにした連載作品群
モダンで率直な描写が大きな反響を呼んだ


新潮文庫『おはん 宇野千代』の表紙デザイン。淡いクリーム色の背景に、髪飾りをつけた和装女性の横顔のイラストが繊細なタッチで描かれたブックカバー

おはん

1957年 / 単行本刊行

野間文芸賞

女流文学者賞

故郷・岩国を舞台に男女の情念を描いた最も代表的な小説
高い文学的評価を受けた

毎日新聞社版『生きて行く私』の単行本カバー。左側にはグレー背景にピンクの桜が華やかに描かれた『上巻』、右側には淡いグリーン背景に白い桜が可憐に描かれた『下巻』が並ぶブックデザイン

生きて行く私

1982年 / 毎日新聞連載

ベストセラー

波乱万丈な自らの生涯を語った自叙伝
晩年の彼女の人生哲学が多く詰まっている

雑誌『スタイル』の見開きページ。チェック柄、水玉模様、花柄など、様々なデザインのモダンなワンピースドレスを着用した女性たちのファッションイラストが手を繋ぐように一列に並び、それぞれに丁寧な解説文が添えられたスタイルブックの紙面

ファッション・デザイン

文学の枠にとどまらず、新しい女性像と美意識の追求から生まれた、雑誌編集や着物意匠の活動


ファッション誌『スタイル』

1936年創刊

昭和11年(1936年)に自らスタイル社を創設し、日本初の本格的なファッション誌として『スタイル』を創刊

洋装・和装を取り混ぜた斬新な提案で、新しい女性像と美意識を社会に提示し、戦後復刊時には驚異的な反響を呼ぶ

グラフィカルでカラフルなイラストが描かれた雑誌『スタイル』の様々な号の表紙がずらりと並び、その中央に黒地に黄色い線画で2人の女性が描かれた『スタイル』第6号の冊子が斜めに重ねて置かれている様子
美しい女性たちのポートレートイラストや、下段には1950年代風のモダンなワンピースを着た日本人女性の写真が表紙を飾る、雑誌『スタイル』のバックナンバー16冊が格子状に整然と並ぶコレクション

緑豊かな山頂にそびえる城を背景に、歴史ある木製の橋の手すりに美しく掛けられた、上品な薄グレーの生地に白やピンクの桜の花が流れるように満開に描かれた宇野千代デザインの着物
伝統的な日本家屋の瓦屋根と白い障子の前に美しく広げて掛けられた、漆黒のちりめん地に無数の白い桜の花びらがリズミカルに舞い散るシックな和の情緒漂う宇野千代デザインのきもの

着物意匠・デザイン

生涯を通じた美の追求

着物のデザインにおいても卓越した感性を発揮

日本の伝統美を基盤としながら、しなやかさと芯の強さを兼ね備えた現代的で洗練された表現を創造

桜をモチーフとした意匠は、宇野千代の美学を象徴するものとして今も広く親しまれている

宇野千代の言葉

緑豊かな山並みと木製の橋を背景に、紺地に白い小紋柄の着物を身にまとい、白い日傘をさして佇む、トレードマークの大きな丸眼鏡をかけた宇野千代のカラー写真
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スクロールできます

「私は生きている」という発想から「私は生かされている」という発想に転換するとき、周囲を取り巻く自然の不思議さ、有り難さに気がつくのである。


人間は、心の存在が、すべてである。心が、体を動かす。心が幸福を生む。幸福は幸福を呼ぶ。

人生はいつでも「今、この時」がすべてである。いつでも、どこでも、愉しんで生きて行きたいものである。

幸福も不幸も、ひょっとしたらその人自身が作るものではないのか。そして、その上に、人の心に忽ち伝染するものではないのか。とすると、自分にも他人にも、幸福だけを伝染させて、生きていこうと、私は思う。

お洒落をする、或いは気持ちよく、身じまいをすることは、生きていく上の、生き甲斐でもある。ちょっと大げさに言うと、人としての義務である。

確信することさえ出来れば、普通の人の眼にはどんなに不可能だと見えることでも可能です。そうです。人間の心というものは、そういう不思議な働きを持っているのです。

その死は、秋になって、木の葉が枝から落ちるように、或る日、ことりと、何の前触れもなく、自然に来た。悲しみではない。或る感動を与える死であった。それが、私の念願する死である。

幸福は、遠くにあるものでも、 人が運んでくるものでもない。自分の心の中にある。 


いまあなたの上に現はれてゐる能力は、氷山の一角。眞の能力は、水中深く深く隠されてゐる。


自分の幸福も、人の幸福も同じように念願する境地まで歩いて行きたい。

最も身近な人を幸せにすることは、最も難しいことであり、それ故に、最も価値のあること。 


この頃思うんですけどね、何だか私、死なないやうな、気がするんですよ。ははははは 満九十歳



人のすることで、自然であることほど美しいことはない。 


どんな時にでも、最後の瞬間まで、生きる気力を失くさない人が、私は好きなのです。



希望というものは、どんなに小さなものであっても、やはり希望である。 


老いを自然に受けいれ、慣れることが、愉しく生きるコツである。



人の顔つきも習慣である。笑顔が習慣になればしめたものである。



愛とは純粋な善意の現れである。愛のあるところには人が集まる。

人生はいつだって今が最高。



私はしあわせ、昔も、今も、これからも。



行動することが生きることである。

幸福は幸福を呼ぶ。

言葉が感情を引っ張ってくる。

夢中で生きることが、人生の目的だった。



暮らし上手は生き上手。


おしゃれは手をかけ、心をかける。

おしゃれは、生きてゆく上の、生き甲斐である。 


おしゃれは、文明人の義務である。 


単純明快が、 美しさの基本である。

私は幸福を撒き散らす、花咲かばあさんになりたい。

どんな人生でも喜びと感謝で生きる。

木の葉の文様が描かれた壁紙や襖を背景に、格子柄のシックな着物を身にまとい、髪を後ろでまとめて静かに視線を落とす、若き日の宇野千代のセピア調ポートレート写真

宇野千代について


98年の生涯を通じて「美しく生きること」を体現した、
宇野千代のプロフィールや年表はこちらからご覧ください。

人物紹介を見る

手前に広げられた『おはん』の浮世絵風挿絵や直筆原稿が印刷された美しい巻物を中心に、奥には『大狗庵久吉 宇野千代』と書かれた緑色の書籍、青色の特製本、木箱などの貴重な文学資料が並ぶ画像

作品の利用・ライセンス


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中央に描かれた女性の柔らかな顔のデッサン画を中心に、アンティークな彫刻が施された古い本、手書きのメモ、海外の街並みが写るモノクロの古写真が情緒的に並べられたコラージュ画像

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